『キスの格言・2』
手なら尊敬
(フランツ・グリルバルツァー『接吻』より)
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近頃、正守と刃鳥はコンビを組んで裏会の任務に就くことが増えた。互いにとっても阿吽の呼吸で戦えることもあって不満はなかった。
「滅!」
激しい爆発音と共に妖は消え去った。
「終わりですか?」
正守の背中から刃鳥が声をかけた。正守は振り向きもせず、
「そうだな、目的は果たしたし」
と言い、ちらりと刃鳥に目をやってから、
「刃鳥さんがパートナーだと、安心して任務が遂行出来る」
そう言うと、刃鳥は頭を軽く下げた。
正守は自分の足下に落ちていた薄紫色に染められた長いサラシに気付き、拾い上げて軽くはたいてから刃鳥の方を向き、
「俺が巻いてやろうか?」
そう言うと、刃鳥は結構ですときっぱり断った。しかし正守は引き下がらずに彼女の左手を取った。
刃鳥の手の甲から脇の辺りまでびっしりと描かれた紋様を正守が眺めていると、刃鳥が嫌そうな顔をしているのに気付いた。
「そんなに嫌い? 凛々しい刃鳥らしくていいと思うよ」
そう言って彼女の手の甲、紋様の先端に口づけた。
「何をするんですかっ」
刃鳥は顔を強ばらせ、強い口調で正守に言った。だが彼は彼女の手を離すことなく、
「本当なら跪いてするべきなんだろうけどね」
と言って、左腕にサラシを巻き始めた。刃鳥はされるがまま、その様子を見ていた。
「刃鳥は……どうしてそんなに強いの?」
顔を上げずに正守は刃鳥に問うた。
「墨村さんの方が強いじゃないですか。結界師としての能力も高くて……」
刃鳥はそう答えたが、それは正守が欲した答えではないようで、ただ黙ってサラシを巻き続けた。
サラシの巻き終わりを差し込み、サラシを巻いた腕の上に指を滑らせながら跪いた。そしてもう一度彼女の手を取り、先ほどと同じ箇所に口づけてから立ち上がった。
呆然としている刃鳥の耳元に彼は言葉を残した。
「刃鳥には一目置いてるの、わかる? だからもっと俺に力を貸してくれないか?」
早速挫折した感じorz
まっさんから刃鳥さんへの尊敬って最近になってからですよね。おまけマンガのアレ。
ついでに刃鳥さんの腕の紋様がつけられたのも、そんなに大昔の話じゃなさそうだし…で、色々考えましたが、取りあえず夜行創設前の話っちゅーことで。捏造捏造。
こんなトコで補足してる辺り既にグダグダorz
081024