「時音ーっ」
良守が笑顔で駆け寄ってくる。時間に遅れてるのに。らしいと言えばそれまでのこと。
「見てくれ、俺のスペシャルチョコケーキ。スティック状にしたから食べやすくなってるんだぜ」
意気揚々と差し出してくる。特に拒む理由もないので受け取った。
ケーキを包んだクッキングシートから少し覗かせて、口に運ぶ。
良守が期待に満ちた目であたしを見てる。

『美味しい。だけど…』

「チーズケーキの方が良かったわ」
しまった。そんなこというつもりじゃなかったのに、チョコケーキが美味しいって言うつもりだったのに。
「そっか、じゃぁ今度はチーズケーキにする。レアとベイクド、どっちがいい?」
良守は怒らない。文句を言われたって仕方ないのに…
「…レア」
「レアだな? わかった。時音のために頑張って作るぞー」
笑顔で拳を突き上げる。こんなときの良守の笑顔は嫌いじゃない。 ただその頑張りを、仕事でも見せてくれたらいいんだけど。
じゃなくて、ちゃんと言わなきゃ。
「良守、あのね…」


デイパックとか天穴とか色々描き忘れてますけど、その辺はゴニョゴニョ…
良守と時音は二人とも元気で可愛くて、ちょっと意地っ張りなとこが好きです。20080106